初めての子を流産で亡くして病院に入院した。肉体的な傷はそれほどではなかったが、精神的な痛手が大きく、広い病室で一人横たわっていると涙が止まらなかった。そんなとき、一人の看護師さんが話しかけてくれたことが嬉しく、何よりの薬になった。若い看護師さんであったが、患者の心理状態を真剣に探りながら、心のひだに分け入った慰めや励ましの言葉を何度もかけてくれた。四、五日で退院したが、それから二週間ほどして、治療のために病院に行くと、そのときの看護師さんが近寄ってきて一通の手紙を手渡してくれた。手紙には今回のことへの慰め、女性としての共感、そして次には丈夫な子を産んでほしい等々、こまやかな心遣いで書かれ、安産のお守りが同封されていた。医療の荒廃が叫ばれている昨今、医療の原点を体現しているかのような若い看護師さんが現実にいることを知らされた。薬では治らない心の傷に温かな治療を施してくれたことに感謝する、といった趣旨である。全部の病院職員が患者の一人一人にこうした思いをこめた行動をとったとき、どれだけ多くの患者を救うことができるかということを改めて考えてみたい。人間が一生を生きていくうえで必要なことは、“他人を思いやる”行為を除いてほかにすぐるものはないということである。病院や診療所は職員のホスピタリティがあればこそ、多くの患者から求められ、仰がれ、信頼されるのである。
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